Day_3_1 夢探偵大神ソウゴ
「一通り、集まった人の話は聞けたね」
なんだかんだで、大神くんは公園に来てくれた。やさしい。
夢路中央公園には、いつもより多めに人が集まっている。私が呼んだからだ。それも夢の中で。
未だにちょっと信じられないけど、あれは本当に本当だったんだ。
私は自分のこと、ちょっと疑り深い方かなって思ってるけど……この人数を実際に見ちゃったらもう完全に信じるしかない。
夢で見る人たちは、みんな実在の人物! みんなの夢が、繋がったんだ……!
夢で見たよりちょっと人数は少ないけど、かなりの人が公園に集まってくれた。みんな、夢のことが気になるのかな。
話を聞くに、やっぱり高校生が結構多いみたい。
でも、サラリーマンっぽいおじさんや、結構大人っぽい女の人もいたな。
……今では普通に話し合って、夢で見た人達との再会に驚いている人達が……
あの悪夢の中では怖い顔して殺し合ってるなんて、なんだかギャップが凄いね。
やっぱり人間って誰しもが、皮一枚めくれば恐ろしい獣なのかなぁ。
「聞き込みで得た情報をまとめると……こうだ」
大神くんがスマホで取ったメモを見せてくれた。意外と几帳面?
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・全員確かに同じ夢を見ている.ただし視点は違う,夢というより『意識だけ異界に飛んでいる』に近いのか?
・あの異音と暗示の声も恐らく全員が同じ物を聴いている.皆同様に殺意を呼び起こされているようだ
・全員が夢路市在住.夢路中央公園も知っている.年齢はまちまち
・全員,この近辺で綺麗な石やアクセサリーを拾った覚えがある
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「ちゃんとメモとってる! なんだか探偵みたいだね」
「そういうのはいい。……ここから考えるに、やはり原因は──」
大神くんはポケットから小さな球を取り出す。黄色に輝くシトリンのビーズ。
私もカバンからローズクォーツの粒を取り出した。
「これ、だね……」
みんな口を揃えて、『そういえば綺麗な石を拾った気がする』と言う。
確かに、こうなれば原因は明白だ。
「夢路市在住という共通点もあるが、もしそれが原因ならもっと大人数が夢を見るはずだ。
この怪奇現象のトリガーは『石を拾うこと』だろうな。
こんなに簡単な話だったとはなぁ。こいつを捨てちまえば──」
ビーズが植え込みに投げ捨てられ、ガサリと音を立てて消えた。
「あの悪夢とはオサラバだ」
「……そうだと良いんだけどなぁ」
ピンクの石粒をつまんで眺めていると、大神くんに声をかけられた。
「お前は捨てないのか?」
「……いや、なんか、怖くなっちゃって。もしあの悪夢がこの石のせいだとしてもさ、こんなヤバそうなアイテム、乱暴に扱ったら──」
「呪われる、ってか? ビビリが……」
なにさ。仕方ないじゃないか。
「まあいい、比較実験だ。俺がこうして石を捨てて、何にも起こらないようならお前も捨てればいいさ」
「そうだね……そうするよ」
私は石粒を、傷付けないように布で包んでカバンに入れた。