Day_4_3 集合する無意識
この夢も4回目。そろそろ慣れが出てきたかも。
大神くんは相変わらず嫌そうにしてるけど。ま、痛いのは誰でも嫌だよね。
「で、大神くんはさっきから何してるのー?」
大神くんは狼に変身して、電柱のてっぺんに登り周囲を見回している。
「探し物だ! お前も紙切れのようなものを見つけたら教えてくれ!」
「紙切れー?」
「ああ! この夢を解く手掛かりになるかもしれない!」
そう言いながら大神くんは電線を器用に渡っていく。
月夜の街の空を往く狼の姿は、なんとも幻想的だった。
「あった──」
狼が電線から落ちた──と思ったら、地面に着く前に人に戻っていた。
その手には、なにか紙切れが握られている。
「これだ! ……ん? 内容が前と違うな……」
「何が書いてあるの?」
大神くんの元へ駆けつけた私は、その紙を覗きこんでみた。
「なにこれ……?」
「わからない。ただ、この夢について書かれていることは確かだ」
「変なの……これとは別の紙も見たことあるの?」
「ああ。第一段階、水晶がなんとか……と書いてあった」
大神くんは立ち上がり、公園と反対の方へと歩き出す。私も後を追った。
「本書……つまり、これは何かの本のページか。それにしては手書きっぽい字だが……」
考え事をする姿はなんだか、本物の探偵みたいだ。
そうして眺めていたら、大神くんがこっちを向いてこう言った。
「……ついてくるなよ、そろそろあの声が来る。危ねえから離れとけ」
「別にいいじゃん、どうせどれだけ離れても見つかっちゃうし。それに──」
「それに?」
「君に殺されるのも、案外悪くないかなって」
「……は? 俺は嫌だが」
本気で嫌そうな顔をされた。なんかショック。
『殺意の時間です』
返答にちょっと腹が立った私はその後、アナウンスに導かれるままに大神くんへ向かっていった。